郷里の広島では、有福温泉の名前をよく目にしました。広島発、有福温泉行の路線バスが運行され、行先表示にその名前がありました。高校生時代はバス通学。現在でも運行されていますが、残念ながらいまだに終点まで乗車したことはありません。
有福温泉は今回が2回目。温泉に興味を持ち始め、まだ記録を残すこともなかった頃、おそらく一番最初に意識して入った温泉だったような記憶があります。当時は、建物の古さや設備の不十分さに閉口しつつ、それでも気持ちのいいお湯という印象だけはありました。
いかにも中国山地の小さな温泉地という感じです。「歓迎有福温泉街」の看板がなければここが有福温泉とは分からないでしょう。静かで落ち着いた、というよりむしろ活気のない閑散とした街並みを進んでいくと、十数台だけの無料駐車場。車を置いて、駐車場の横から狭い路地の階段を上がって行きます。
数箇所に「↑御前湯」の案内はあるものの、周囲の建物に視野を奪われ、直下に至るまでその姿を目にすることはできません。そこですらわずかに建物の一部を垣間見ることができるだけです。【トップ画像】 しかし、周囲とは異質な、それなりに存在感のある建物であることが分かります。
入口を入ると、正面中央になにやら面白そうなものを発見。これって……。そうです、これが番台。中におばちゃんが一人座っています。脱衣所もまあそれなり。しかし、気を付けないといけない大切なことが1つ。この御前湯の建物内にはトイレがありません! えっ、そっ、そんなあ……。屋外の隣接した公衆トイレで用を足してからお越しくださいませ。(^^;
未確認ですが、その公衆トイレと御前湯の間の小屋が泉源かもしれません。断熱加工を施したパイプが御前湯につながっています。浴室内は、中央に浴槽が1つ。けっして十分な広さがあるわけではありません。その浴槽の中央に丸い石造りの湯口。お湯はやや熱めの無色透明、無味無臭。あえて言えば、若干白濁。貝汁に例える人もいるとか。(笑)
お風呂上りに時間の余裕のある方には、2階の休憩所がお勧め。アールの付いた窓は、時代と風情を感じさせます。また、ここには古い写真が展示されていて、有福温泉の歴史を伝えています。有福温泉行の乗合自動車の写真もありました。路線バスの歴史は古いようですね。さっぱりした後は、お土産に「善太郎餅」。1つずつ丁寧に包装されたあん入りの草もちは甘党にお勧め。
