間歇泉なんて遠方の観光地のものと思い込んでいました。大金をはたいてツアーにでも参加しない限り、生涯目にすることもない……。ところが意外に身近にありました。日頃、実家への帰省で行き来する自動車道からそう遠くないところ。たしかに旅行パンフで紹介されるような大規模、大迫力とはいきませんが、間歇泉には違いありません。自然の妙味、一見の価値はあります。言うまでもなく、特徴あるお風呂も。
 
 
    
 
 
 中国自動車道六日市ICを出て国道187号線を津和野方面へ20分余り。柿木温泉の案内標識ばかりが目に付き、木部谷温泉の案内はありません。通り過ぎてしまったかなとやや不安になりかけたところで唐突に松乃湯の大きな看板。【画像上左】右折すると道路の左右に駐車場。【画像上右】左は民家のあるただの広場。松乃湯は右。なんで柿木温泉の案内ばかりなのでしょう。そうそう、ここは柿木村。当然、柿木温泉がイチオシってことなのでしょうね。
 
 
 
 
 建物の左端に山道があります。ここを登ると源泉の間歇泉があるわけですが、これはあとのお楽しみ。入口で350円を支払って浴室へ。狭い脱衣所。浴室自体も広くはありません。まずは驚きのお湯の色。インパクトのある茶褐色の濁り湯。我が家の女性陣は敬遠するに違いありません。しかもこれと対照的に浴槽の周辺や床には緑色。なにこのコントラストは?説明文によると、この緑色は当温泉固有の貴重な藻なのだそうです。泉質が生きているので藻も育つというわけですか。ふう〜ん。
 
 
    
 
 
 給湯システムもユニーク。見た目はかけ流しではありませんが、湯口には自由に開閉できるバルブが設置され、これを開けると源泉が流れ込んでかけ流しになるという仕掛け。【画像上左】しかし、加温されていないので源泉は冷たいまま。入れ続けると浴槽のお湯の温度が下がります。
 
 そこで登場するのが浴室右奥の蒸気バルブ。【画像上右】バルブを開けると高温の蒸気が浴槽に入ってお湯が温まるという仕掛け。浴槽の湯量が減ると源泉を注ぎ、温度が下がると蒸気を入れるという2つのバルブ操作で、快適な湯温を維持しつつ実質的なかけ流しとなるわけです。しかも入浴客が自分で操作するところが意表を突いています。(笑)
 
 湯口から出てくる源泉は無色透明。でもこれが浴槽に入ると茶褐色に色着いていくのでしょう。口に含むと明らかな炭酸味。思わずゴクゴク飲みたくなります。ややカナケ臭があるのかな。流れ込む源泉の冷たさを感じつつ、浴槽の縁から溢れ出るお湯の音に耳を傾けていると、嗚呼、至福の時だなあ、と思わずニンマリ。
 
 
    
 
 
 さて、湯上りには是非間歇泉の見学を。側溝を流れる褐色の水に期待感を高めつつ、建物の左端から山道を登ると、すぐに開けた場所に到着します。【画像上左】柵の中はニ段になっていて、下側は貯水池。ここから溢れた水が側溝を流れていたわけです。間歇泉の湧出口は上側の奥。【画像上右】湧出口にパイプが見えます。ボーリングをしたら間歇泉になったのだとか。そんなに昔のことではありません。昭和60年代。
 
 到着したときにはまだ何の変化もなく、6〜7人の先客がいまかいまかとイベントの始まりを心待ちにされていました。20数分ごとに湧出し5分程度続くとの情報。水蒸気の圧力による間歇泉が多い中、ここの間歇泉は炭酸の圧力なのだとか。したがって熱水ではありません。炎天下、待ちくたびれてもう帰ろうかと思い始めた矢先、「出た出た」の声。シュワシュワシュワと音を立てながら、気泡いっぱいの白い水柱が立ち上り始めました。
 
 

 
 

 
 

 
 
 
 
 2メートルは吹き上がるという情報は大袈裟ですね。最高記録ということかもしれませんが、高々1メートルちょっとという感じ。ピークを過ぎると次第に元気がなくなり、水柱が短くなって、最後はまた元の静けさ。なるほど、と満足感。一見の価値はあります。ただし、過大な期待は禁物。それなりに、ささやかに心豊かに楽しめます。