〔組立完了!〕
 
 
 

 最後の最後に、リヤを除いて残してあったナンバープレートを取り付ける。煙室扉の貫通した穴に1.4mmの長めのネジとナット。サイド水タンクは二重構造になっていて、外板に1.4mmのネジが切ってありナットは不要。「画竜点睛」とはよく言ったものだ。ただの金属部品の塊が、まさに蒸気機関車になる瞬間。真鍮色の輝きがモノクロのボディに映える。何度かの試練を思い起こして、ちょっとウルウル。
 

 さて、組立完了にあたって「組立記」の総括。
 
 
(1) キットそのものの完成度はほぼ申し分ないという印象。蒸気機関車の原理や構造について十分な知識がなくても、また加工機械や専用工具も持たなくても、付属のドライバーやレンチなどでライブスチームの組立ができること、そのこと自体が驚きに値します。ズブの素人、入門者にとって、完全加工済みキットの魅力はこの点に尽きるでしょう。
 
 ただ惜しいのは、個々の部品の精度の高さにもかかわらず、それらを集めてキットを構成する段階で、部品の間違いや不足があった点でしょうか。人間のすることですから間違いはあります。それを見越したフォローもしっかりしているので深刻な問題は発生しませんが、ミスを生じさせない製品管理が基本でしょう。あえてそこまで期待したいという思いです。
 
 なお、同一のキットを組み立てられた複数の方にお尋ねしたところ、そのような不具合はほとんどなかったとのこと。私のキットがハズレだったのかもしれませんね。最終的に問題はありませんが……。
 
 
(2) 「組立説明書」の図面や説明文は必ずしも十分ではありません。特に各パートの完成図面がないので、作業後、これでいいのなあ、と心配になることが度々あります。しかし、これについては評価が分かれるでしょう。
 
 もっと懇切丁寧で詳細な図面と説明文があれば、確かに悩みはより少なくなりますが、その分、組立の楽しみも半減します。こうかな、どうかな、と悩みながら工夫するところが楽しいわけで、これを苦痛に感じる人はキットの組立には向かないのかもしれません。完成品を購入される方が賢明です。
 
 かといって、図面も説明文もなしでは、初めて挑戦する素人にはお手上げです。部品の山を前にして途方に暮れてしまいます。そういう意味で、「組立説明書」の位置づけは微妙です。組立の手掛りを与えつつ、しかも組立の楽しみを失わせない、この二律背反をどのようにバランスさせるか。結局、付属の「組立説明書」のようになるのですかね。
 
 仕事で受注して組立するわけではありません。趣味のレベルの工作です。プロ用の図面を持ち出されても閉口するでしょうね。
 
 
(3) やむを得ず、娘の部屋の空き机と出窓を作業スペースとしましたが、これはあまりお勧めできません。特に出窓は作業に不便です。当然のことながら、片方の側面しか作業ができず、反対側に移るたびに本体の向きを換えなくてはなりません。終盤に近づくにつれて重量が増え、方向転換もままなりません。
 
 一般家屋用のアルミサッシの出窓は、強度が十分ではないそうです。短時間の重さに耐える強度はあっても、長期にわたって重量物を支える設計にはなっていないそうです。HPをご覧になった一級建築士の方から助言をいただきました。私は、モーメントが生じないよう、可能な限り出窓の内側に本体を置くようにしました。
 
 出窓での作業は常に逆光です。照明スタンドを使用するのも不便です。逆光の中で黒いボディに黒のビス止め、ほとんど暗中模索の手探り状態。我が家の出窓の方角からして、午後には西日の攻撃もあります。作業はほとんど午前中だけでした。日没後の作業はどうでしょう。いえいえ、それは叶いません。部屋主のお嬢様がいらっしゃいますから。
 
 娘の部屋に間借りした組立も制約が多いですね。しかもお年頃ですし……。当初心配した機械油の臭いや金属の切子はほとんど問題になりません。朝早く学校にお出かけになるので、その直後をねらって組立。あるいは休日の早朝、私の寝室と入れ替わっていただいて組立。試験期間になるとそれもできず、作業は一時中断。しかし、継続は力なり。それらの積み重ねでライブスチームが出来上がるのです。
 
 専用の工作室があったらなあ。せめて十分な組立スペースだけでも。そう思わない日はありません。しかし、逆の考え方をすれば、専用の工作室がなくても、娘の部屋に間借りした出窓ででも、ライブスチームの組立はできるのです。組立スペースの確保に悩んでおられる予備軍の方には朗報かもしれませんね。
 
 
(4) その他、自戒の念を込めて、気付きや留意点。
 
@言うまでもないことですが、整理整頓が大切です。必要な部品や工具がすぐ取り出せるようにしておきましょう。何をどこに置いたか、すぐ忘れてしまいます。年齢のせいでしょうね……。
 
A体調を整えて作業に取り掛かりましょう。作業には集中力が必要です。ぼんやりして安易に作業を始めると、ビスを床に落として何時間も探すはめになります。これにはとても疲れました。
 
B1日に1つのパートだけを作業するのが賢明かもしれません。欲張って次々進んでいくと、後の作業がいい加減になってしまいます。はやる気持ちを抑える自制心も大切です。むしろ一箇所だけに集中して、より完成度を高めた方が、晩酌のビールが美味しいです。
 
C行き詰ったときは、メーカーや先輩諸兄に相談するのが何よりの打開策です。同種のことをしていても、仕事の競合ライバルではありません。皆さん、とても親切に相談にのってくださいます。お礼も忘れずに。
 
 
 というわけで、かなり制約された状況の下にありながらも、ライブスチームの組立を完了することができました。これも、問い合わせに気さくに応じていただいた多くの皆さんのおかげです。お礼を申し上げます。それと、いっしょに一喜一憂してくれた家族にも。部屋の間借りを許してくれたお嬢様には、はえある公開試運転の一番列車に指定席をお取りしておきましょうね。

 
 
 
出窓で組立!