最初に思い浮かぶのは、『日本国有鉄道蒸気機関車設計図面集』(原書房、1976年10月1日発行)。共通部品の冒頭に「機関車番号札」の設計図面がある。アルファベットと数字の大きさと形状、字間、さらには取付穴の位置までが規定されている。これに従ってイメージを作成(画像は玉井氏提供)。しかし、C11328の場合、11が密着して割箸のように並んでいるのに対して、328の数字はいずれも横幅いっぱいで、どう見てもバランスがよろしくない。しかも11とそれ以後の数字が離れすぎている感じ。模型だからといって、設計図面通りである必要はないですよね。
ところで、現物はどうなっているのでしょう。たしかに『設計図面集』のデータに似てはいますが、完全にその通りでもなさそう。「2」の口ばし部分は水平より下にさがっているし、個々の数字はより肉太な感じ。その分「8」の上下の丸穴は小さめ。他の機関車を見ても、ナンバープレートが設計図面通りでない例は少なくない。図面にこだわるより、むしろ現物を参考にする方がいいかもしれない。
デザインと並んで深刻な問題がもう1つある。取付穴の問題。機関車本体には、すでにナンバープレート用の取付穴があいている。フロントとリヤはボルト・ナット、左右の水タンクはネジ穴にボルトで固定する。OS製のナンバープレートはC11157。157の「1」の影響で、328のナンバープレートとは横幅が異なる。新たに機関車本体に穴をあけるのは現実的でないだろう。穴位置がずれるといってもほんのわずかだし、そんなに接近した穴あけはまず不可能。しかも失敗は許されない。すでにある取付穴をそのまま使おう。したがって、必然的に特注ナンバープレートの外寸も決まってくる。
要は、既存のOS製ナンバープレートの大きさの中に、どのようにC11328のアルファベットと数字を入れるか、ということ。暗中模索、試行錯誤、散々悩んだ挙句、現物を横方向に10%縮小、つまり90%まで縮小すると、縦横の比がOS製ナンバープレートのそれに一致することが判明。しかもこれによって11の次の隙間の問題も若干改善される。まあ、こんな感じかな。
OS製ナンバープレートのサイズと、横方向に10%縮小した現物の画像を業者に送って製作を依頼。ただし、現物の画像は、真正面からではなく、斜め下からの撮影なので、版下には使えないとのこと。「それじゃ、こんな感じで版下を」。数回の画像添付メールのやり取りの末、できあがったのがこの版下。やや肉太の感は否めないが、むしろ存在感があって見映えがよい。縮尺に正確であるよりもイメージ優先ということだ。「何度も直しを入れると、その分いくらでも費用がかさみますよ。今後のこともありますし……」。業者から貴重な助言。完成度の高い版下を自分自身で準備する、これが特注ナンバープレート製作のポイントのようです。