〔ロッドとバルブギヤの取付〕
 
 
 
 第一連結棒と第二連結棒の取付に問題はなかった。片側だけでは動輪がうまく回転しないが、左右両側に連結棒を取り付けると、3軸ともスムーズに回転する。クロスヘッドを組み立て、滑棒に通して滑らせると、これもまた、ガタもなくスムーズによく滑る。しかし、滑棒を所定の位置に取り付け、クロスヘッドをピストン軸に固定すると、とたんに動きがシブくなる。固まってまったく動かないこともある。左側が特にそうだ。滑棒の取り付け方に問題があるのかなあ……。計測してみると、明らかにピストン軸と滑棒の間隔が平行ではない。こりゃ無理だな。第4の試練
 
 
 数日間散々悩んだ挙げ句、OSの井上さんに電話で相談。「組立説明書には書いてありませんが……」との前置きで、何点かヒントをいただいた。(1)シリンダーブロックの取付、滑棒を支える加減リンク横梁の取付など、周辺部品が関与している可能性が高い。(2)シリンダの後蓋を取り付ける際に、ピストンを最後部の位置に引いておくと、後蓋とピストン軸がうまく合う。(3)スペーサーを入れて強引に調整するという方法も、実際上はかなり有効。(4)部品が規格外の不良品ということもないわけではない。
 
 
 井上さんは(4)を気にされていたが、左右の部品を比較しても、その可能性はなさそうだ。後悔しないためにも、ここはもう一度、関連箇所を組み立て直してみることにしよう。完成後、修理のために分解を余儀なくされることもありそうなので、いわばその練習も兼ねて。
 
 

 とりあえずシリンダーブロックを取り外してみた。棒尻サヤ、排気口板などはそのまま。ボルトを抜いた後、OSの井上さんに教えられた通りに、シリンダーブロックと後蓋の間にカッターナイフの刃を打ち込んで、後蓋を開ける。あれれ。バスコークがシリンダーの内側にはみ出しているぞ。しかも、ピストンにまで付着している。前蓋部分のはみ出しはない。逆サイドのシリンダーも気になるところだが、機能的には問題ないので、そちらは、まあいいことにしよう。これまた井上さんに教えられた通りに、シンナーでバスコークのクズを洗浄し、再度後蓋の取付。バスコークは控え目に。もちろんピストンは最後部。以前と変わった感じもないけど、塗りすぎたバスコークを洗浄できただけでも成果はあったということだ。
 
 
 


 シリンダーブロックを再度取付。今度は、あらかじめ滑棒を仮止めした上で、クロスヘッドを動かしながら、シリンダーブロックの取付ネジを徐々に締めていく。ネジ穴の遊びで、シリンダーブロックの位置を加減しながら様子をみる。遊びの最上部の位置がいい感じだ。そういえば、以前の取付では、ブロックが重いので、そのまま最下部の位置で取り付けた記憶がある。この微妙な位置加減が重要なのだなあ。シリンダーブロックを固定し、仮止めだった滑棒をちゃんと取り付ける。滑棒を取り付けるネジの微妙な加減こそあるものの、まあ大丈夫そうだ。苦難の第4の試練、克服。
 
 
 
 
 


 説明書通りに、各種バルブギヤの一部を組み合わせる。加減リンクの内側で滑子がスムーズに動くようにするには、若干ヤスリ掛けが必要。滑子のピンはカシメて止める。金床の上でカチンカチンやっていると、「何だか職人さんみたいね」と奥様が覗きにいらっしゃった。まだまだ、素人の職人ですけどね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 これまた、説明書通りに、上で組み合わせたバルブギヤを取り付ける。本当は、逆転軸の角度や返クランクの角度が重要なんでしょうが、「また後で調整します」という説明書のことば通りに、ここは適当に。この段階で、ピストンの負荷だけでなく、さらにピストン弁の負荷も加わることになったが、OSの井上さんによれば、「自重だけでスムーズに動輪が回転すれば問題ありません」とのこと。ヨシヨシ、OKだ。
 
 
 
 
 
 
 


 散々苦労した滑棒とクロスヘッド。クローズアップもいい感じ。どうだあ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 【ポイントE】 ネジ締め
  
 複数の部品を組み合わせるときには、最初から個々のネジを固く締めてはいけない。そういう感じは何となくあった。ネジ穴にもガタがあるので、下手をするとそれらの誤差が積もり積もって、最後には大きなズレやひずみになってしまう。そうならないためには、最初から固く締めず、個々のネジを全体に渡って少しずつ増し締めしていくという技術が必要なのだ。微妙だ。先輩某氏の助言には「ビス止めは奥が深い」とも。