〔引込線の敷設〕

 ポイント設置で採用したネジ式は、枕木の下の隙間が不揃いの箇所に最適な工法。しかし、課題も残っていた。(1)ポイントの線路にはボール盤が使えず、ハンドドリルで下穴を垂直に開けるのに苦労した。ドリルガイドが欲しい。(2)同様にタップを垂直に立てるのにも苦労した。こちらはタップガイド。いずれもなんとか工夫したい。ただし、ネジ穴の位置決めはやはり0.8mmドリルで慎重に。枕木の両側にネジ穴が必要。手前7箇所、向こう5箇所【下画像】。


 まず課題(1)の下穴。直線線路はボール盤が使えそう。しかし、線路が長いので(L=1500mm)、かなりイレギュラーな使い方にならざるを得ない。線路をテーブルの高さに支持するために、工作台の上に段ボール箱を置いて載せました【画像左】。酒瓶用の箱です(笑)。線路が水平になるように最後はテーブルで微調整。

  

 大変なのは反対側。線路を支持する工作台ないので、屋外に脚立を立てて載せました【画像右】。笑ってしまいますね!それでも脚立から外れてしまう箇所は、前回同様ハンドドリルで穴開け。確かに、垂直の穴開けはボール盤のものです。神経質になる必要がない。ただし、部材の置き方さえクリアできれば。

 課題(2)のタップガイドは自作しました。アルミ角パイプを重ねて、タップを通す穴を開けます。横の穴は気にしないでください。試作したときの残り穴です。
 
 底の穴からタップの軸を入れます。
 
 上の穴はタップの軸の大きさ。内部の中間穴も同様。これでタップがブレません。底の穴はネジ山の大きさ。セットするとき勝手にネジ山が切れます!上中下の穴を一直線上に、しかも底面と垂直にするにはどうしますか。ボール盤で一気にやると失敗します。それなりに工夫しました。
 
 上に抜けた軸にタップハンドルを取り付けて準備完了。
 
 枕木の下穴に合わせ、ズレないようにしっかり押さえます。ハンドルを回してネジ切り。
 
 垂直に、しかも簡単にネジが切れます。これはなかなかの優れものです!自画自賛。自作タップガイド、バンザ〜イ!!
 
 いくつかの要所にネジを取り付けて仮置きし、様子を見ます。おっ、ここにもネジが必要なのか【画像白丸】。手前の枕木同様に、隣の道床に載ると見ていたが、道床の石板の端が湾曲していて隙間がある!これだから土木工事は……。ネジ穴を1つ追加。ネジ足の最終調整はまだ先です。
 
 さて、続いて道床ブロックの箇所。ブロックをどう置くか。現物合わせです。こんな位置関係でいいかな。線路の先をレンガで支えているので、ブロックを載せても大丈夫。この枕木の下にネジ式の台座が必要【画像白丸】。
 
 スペースに合う石材を探し出して設置。高さは気にしなくていい。ネジ式ですからね!
 
 枕木の位置から道床ブロックの位置決めをして、水糸を張る。さあ、ブロックを並べよう……
 
 と意気込んだところで、思わぬ一手間。敷石の端からコンクリート塊が出現。さもありなん。いまさら驚きません。ノミとゲンノウで欠き取りました。
 
 1つ目の道床ブロックがとても重要。今後の引込線敷設の基準になるからです。しかもクリアすべき点がいくつもある【下画像】。まず表面の高さが、嵩上げした本線の道床と同じであること。本線道床の@の高さに合わせつつ、水勾配の敷石が枕木に接するAの高さに合わせる。前後左右のレベルを出すことは言うまでもない。そしてブロックの端をBの水糸に沿わせる。試行錯誤の繰り返し……


 これでいいかな。線路を仮置きして前後左右のレベルを確認。続けて2つ目のブロックに着手、と思ったところで……
 
 そうだ、土留めが必要だった。苦労して設置したブロックが動いたりしないように、慎重にプラスチック板を隙間にはめ込む。これで土留めが完了。
 
 2つ目からは、これまで通りの道床ブロック設置作業。
 
 道床ブロックを4つ設置したところで、線路を仮置きして確認。
 
 水勾配箇所のネジ足はこんな感じ。下受けのナットを入れておきます。ネジ式の構造はポイント設置と同様。
 
 さて、道床ブロックが整ったところで最終調整。ここからがネジ式の本領発揮。線路のレベルを確認しつつ、ネジを回して足を伸ばし、動かなくなったところが足の長さ。いやあ、いいですね!何度やってもスマートだ!
 
 上からナットで固定。キャップスクリューは、以前のL=30mmに加えてL=20mmを使用。隙間に応じて使い分けをしました。今回はこの段階でワッシャーを挿入。前回同様、ナットからの突出を揃えるための準備です。
 
 突出したネジの切削には金切ノコが早いですが、弓の付いたノコが入らず、刃だけを手で持って切断作業。これがけっこう辛い。時間がかかる。数が多い。突出が小さいものはヤスリがけ。グラインダーがあれば、あっという間でしょうね。ハンドメイドにこだわります。
 
 切削が終了したら、ナットとワッシャーを外し、ネジ先端の面取り。これで見栄えがよくなります。もちろん下受けのナットを固定しておきます。
 
 上のナットを取り付けて完成。いい感じ!
 
 線路の裏側はこんな具合。位置によってネジ足の長さが異なります。
 
 ポイントの先に線路を設置。これで引込線1本目の敷設完了。敷石と道床ブロックの間のくぼみが気になりますか?大丈夫です。これも秘策でカバーします。
 


引込線が少し延伸



次回が最後の線路敷設