〔線路の塗装(その2)〕

 ドキドキの試験塗装が完了し、これからが塗装の本番。アサヒペンのツヤ消しこげ茶でいきましょう。試算すると、全線塗装には大体スプレー缶10本くらいかな。ホームセンターでは取り扱いがなく、ネットで発注。好天に恵まれたゴールデンウィークに作業開始の予定だったが、なんとネットのお店がお休み。そう、退職後は世間的な休日の感覚がなくなるのですよ。連休明けに発注して届いたスプレー缶。


 有機溶剤の有害対策も本格的に。ワフやホキの塗装はこんな程度でした。→こちら。今回は本気です。世界の重松製作所の塗装マスク。吸収缶は交換可能。装着すると溶剤臭を感じなくなる。さすがにすぐれものだ。ただ、難点もある。この外見は住宅地ではどう見ても怪しい。ご近所さんが、えっ!?という顔で通り過ぎる。人目に付かないように作業しましょう。


 塗装はお天気次第。梅雨入り前の好天を逃さないようにポイントの塗装に着手。全線塗装の完了目途は不明です。梅雨明け以降かなあ。道床の延伸工事がそうだったように、塗装した線路が延びていくたびにウキウキする。焦らないで楽しみながら施工します。

 まずポイントの脱脂洗浄。新しいので水洗いは不要です。青ニス除去スプレーでレールの上面、その後、ペイントうすめ液で枕木その他をきれいにします。ガイドレールやクロッシングの隙間も丁寧に。
 
 レール上面のマスキング。クロッシング部分をどうマスキングするか、これは楽しい悩みだ。車輪がここを通るので……、ウフフ。
 
 トングレールを正位に寄せて、転轍棒とレバーにもマスキング。ここはツヤ消し黒にしたい。
 
 塗装スペースに吊り下げる。重い。ポイント線路は20キロもある。ブロックを追加して補強したアングルは問題ない。大丈夫だ。
 
 スプレー塗装。ガイドレールやクロッシングの隙間にも吹き残しがないように。
 
 乾燥したところで上下逆転。枕木の逆側面を上からスプレー。このまま放置して乾燥。重いので移動する気にならない。
 
 トングレール部分には、レールがあった箇所にその跡が残る【画像白丸】。さらにトングレールが接していた隙間にも未塗装箇所がある。
 
 トングレールを反位に移動して、もう一度レール上面、転轍棒、レバーをマスキング。
 
 ポイントを吊るして再度スプレー。レール上面のマスキングは上半分だけ。下半分は新聞紙で包みました。塗料の飛沫が下に落ちる。
 
 最後に転轍棒とレバーの塗装。マスキングテープを巻いたので、一応脱脂洗浄する。綿棒にペイントうすめ液を染み込ませてスリスリ。スプレーノズルから取り出した塗料を使って筆塗り。紙片は枕木のためのマスキング。
 
 ツヤ消し黒に塗った転轍棒とレバー。反省点が判明。ノズルから出た塗料は、筆塗り用としてはかなり濃いめ。そのため筆跡が残る。厚くなるとツヤ消しなのに光沢がでてしまう。ツヤ消しにしようと重ね塗りするとますます光沢感が増す……、ヒィ〜ッ! いずれ汚れてしまうので気にしないことにしましょう。
 
 塗装に続いて転轍装置の取付。それぞれのパーツはすでに塗装済み。このほかにスペーサーの小パーツもある。
 
 塗装したポイントを元の位置に戻してパーツを取り付ける。小さいパーツをなくさないように。キットの組立のようで楽しい。ボルトの頭を同色に筆塗りしてできあがり。しかし、筆塗りの塗装に課題が残った。
 
 新品の線路はレール上面が輝いている。枕木を塗装したので、それが一層際立つ。逆にガイドレールは目立たなくなった。クロッシング部分はあれこれ考えてマスキングしたが、実際に車両が走れば、それらしくなるはずだ。塗装することによって、ポイントはリアルな印象に様変わりした。ウフフですね!


定位置に設置

 転轍装置の引棒の塗装については、真鍮パイプの使用を決めた時からずっと課題になっていた。ツヤ消し黒のイメージはあったが、果たしてうまくいくのか。悩ましいいくつかの問題点。(1)細長いパイプの塗装の仕方、(2)塗装したパイプは支持ヒートンに入るのか、(3)パイプの塗膜はヒートンと擦れて剥がれるのではないか。

 脳内シュミレーションで模索を続けていた。(1)パイプを1本ずつ塗装するのは塗料の無駄が多すぎる。全部を一度に並べて吊るすジグを考えた。パイプの雄ネジを利用する。(2)パイプとヒートンの隙間は0.1mm程度。塗膜の厚さ分だけヒートンの穴を広げるか。(3)塗膜が擦れて剥がれるのは確実。パイプに熱収縮チューブを被せるのはどうか。などなど。

 試験的にパイプを塗装して確かめてみた。スライドバーに接続する最も短い引棒が実験対象。未塗装のパイプを取り付けて筆塗りで塗装した【画像左】。転轍棒とレバーの反省があるので、ノズルの塗料そのままではなく、一旦小ビンに出してうすめ液で希釈してから使用した。濃さの加減ができる。

  

 転轍装置を動かしてみると、案の定、ヒートンと擦れて塗膜が剥がれた【画像右】。まあこうなるよね。しかし、いまさらヒートンの穴を大きくするとか、チューブを被せるとか、対策を施しても効果は期待できないだろう。なにしろ金属同士が擦れ合う摩擦力は、塗膜やチューブとの摩擦力に比べればはるかに小さい。塗膜があると軽く動かないことも判明した。

 さらに視認性。繊細な引棒だけに、踏みつけないように注意喚起が必須。いずれさびるにせよ、真鍮パイプはよく目立つ。結論、真鍮パイプはそのままでいいんじゃないの。引棒は塗装しないことにした。


整備場方向


ポイント方向


レールの輝き!