〔ポイントの道床〕

 業者さんによる庭の整地の際に、玄関前の手水の石やその周辺はそのまま残った【画像左】。敷設する線路幅には影響しないので、まあいいや。しかし、踏段のこの段差はどうしたものか。ポイントを仮置きしたときに愕然とした【画像右】。しかもこの箇所には雨水のマスもあり、コンクリートの蓋がまた厄介。周囲から浮き出ている。

  

 庭の整地(その2)の際に、手水の石以外のものを取り除いた。雨水マスには本来の蓋があり、マス自体も外側に向けてかなり傾いている。その手前には石のプロックが固定され、間がコンクリートで埋められている。何のためのものだろう。この上をポイントの線路が通過するわけだが、う〜む、いったいどうすればいいのか。楽しくなってきたぞ!


 本来の土木工事なら、型枠を組んでコンクリートを入れて道床を作るのかもしれない。完成度は高くなりそうだが、「素人の手作り」へのこだわりとしては、ちょっとやりすぎだな。元の状態に戻すのも難しそう。コンクリートには手を出さない。手元にあるものを活用したい。整地の際に取り除かれた敷石が残っている。これを重ねて道床にする。素人の単純な発想。しかし、高さは揃うのか?

 敷石の大きさは300mm×300mm×30mm。段差は150mm。つまり5枚重ねると高さが揃うはず。しかし、そんなに甘くなかった。実際には30mm×5=155mm!厚みのバラツキが重なっているようだ。しかし、絶望することはない。1枚だけ25mmにすればいいのだ。お店で300mm×300mm×25mmの石板を見つけた。しかも御影石。玄関前の敷石も御影石なのでこれがいい。実際に重ねてみるとほぼツライチ。

 これで大まかな施工方針が決定。あとは微調整をどうするか。新たに生じる課題はその都度対策を考える。この工事箇所さえ乗り越えれば、残りの工区は楽しく作業できるはず。手並みの程をご高覧くださいませ。

 雨水のマスに接する部分には敷石が重ねられない。思案の結果、石のブロックで高さをかせぐことに。もちろんそのままではツライチにならない。石の下にL金具を入れた【下側の白丸】。数枚使って高さを調整。雨水マスの傾斜には厚めのワッシャーを置いた【上側の白丸】。土木工事としては反則だが、どうしても金属加工の頭が働く。
 
 御影石の石板を載せると、踏段とピッタリ。うふっ。手前角の支持がなくて危なっかしいが、上に線路が載るので大丈夫。金具類は、金属、石材にも効く強力接着剤で固定。
 
 続けて、敷石を重ねる。向きを変えるだけで高さやガタつきが変わるので、いろいろ試して高さを揃える。ワッシャーを入れて調整。仕上げるつもりで敷石を水洗いしたところ、高さが狂ってまたやり直し。いやあ、思うようになりませんね。それが面白い。
 
 御影石が3枚並びました。
 
 玄関前の敷石の面とピッタリ。どおだあ〜っ!!久しぶりの快感。このピッタリは指先の感覚。数値ではないけど、それでいい。
 
 玄関前の敷石は外側に向けて若干傾斜している。今回の石板の施工もそれに合わせた。線路を置いたときにどう影響するか。それはまたそのとき。
 
 踏段の段差を克服できたので、次は地面側の施工。これはすでに予行演習済み。高さが揃うように砂を入れて・・・
 
 レンガで突き固めて下地を準備。簡単に出来上がるものと思いきや、新たな課題が2つ。
 
 雨水マスの蓋に接する部分に土留めが必要なことに気づいた。土を固めただけではダメ。なお、このコンクリートの蓋は厄介。下の蓋を外し、ワッシャーで高さを微調整して仮置きしているが、抜本的な施工は改めて考える。
 
 土留めとマスの傾斜への対応アイテムを作成した。20mmアルミ角パイプの両端にM10ナットとワッシャーを接着。ナットとワッシャーの厚みの差が傾斜に対応し、角パイプが土留めになる。
 
 設置するとこんな感じ。角パイプに敷石を載せると高さが揃う。下に隙間ができるが、まあいいことにしよう。
 
 もう1つの課題。地面に並べる敷石は3枚と半分。お店で半分の大きさのものを探したが見つからなかった。それなら自分で作ろう。残り物から探し出したのがこの敷石。ここで半分にしてくださいとスジが入っている!
 
 半分の150mmのところにラインを引いて、たがねとげんのうを用意。
 
 表裏を慎重にコンコン打ち続けていると、あっ割れた!
 
 半分の大きさの敷石がこの端に入ります。
 
 地面側の道床も完成。もちろん玄関の敷石とツライチです。
 
 土木工事は性に合わないのかもしれない。バラツキの大きい素材を使用して、それなりの見た目の精度に収めるのは、私には至難の業だ。経験や技量が欠落している未知の世界。「土木」の「土」は思うようにならないことを痛感する。屋外作業なので天候の影響もある。当たり前のことだが、雨が降ると作業ができない。これまでの工作室の作業ではあり得なかった。塗装のときくらいかな、天候を気にしたのは。庭園鉄道の建設は、新たな世界への挑戦なのだ!

 どうしても金属加工の頭が働いてしまう。専門家からみれば「反則」「邪道」と言われても仕方がないが、そうなってしまう。このページ最初のL金具とワッシャーの使用にはためらいがあった。明らかに本来の土木工事から外れたごまかしに思えたからだ。しかし、そう思いつつも、御影石の表面がピッタリ揃うとニンマリする。至福のときを味わう。むしろこれでいいのではないか。そう思い直した。金属加工からの土木工事。今後はこれを基本方針にしたい。懸案の雨水マスの抜本的施工もこの方針で。


玄関前の全景


ポイント線路を置いてみました!