〔床下補強材の取付(その5)〕
 
 
 床下補強材に着手して以来、ヤスリ掛けをしながら考えた。例えば、図面上で18mmになっている箇所。誤差を0.1mm以下に抑えようとすると、18mmから±0.05mm、つまり、17.95mmから18.05mmの範囲に収めることになる。しかし、削りすぎると取り返しがつかないので、どうしても+側、つまり18.05mmを過ぎたあたりで止めておくのが無難。調子に乗って18.00mmを目指すと、勢い余って17.95mm以下に削りすぎてしまうこともある。
 
 仮にデジタルノギスの数値が18.00mmピッタリになったとしても、数値に現れない1000分の1ミリレベルでは、18.001mmから18.009mmまでの幅で誤差の可能性がある。18.000mmの場合でも、もう1つ下のレベルで誤差の可能性はある。どこまで行っても誤差はなくならない。しかし、図面上の18mmは、18.0000……の少数以下のどの位にも0以外の数値がないことを要求している。つまり、図面通り18mmに仕上げることは事実上不可能なのだ。
 
 現実の世界は図面通りにならない、常に程度の問題だ。これは、言わずもがなのこと。しかし、実はここに哲学の入口がある。現実の現象世界に18mmがあり得ないにしても、また、図面そのものも18mmではないにしても、図面上には18mmと記載されている。18mmが存在しないわけではない。だとすれば、どこにあるのか。「思うようにならない」と言われるが、ここに手掛かりがある。思う世界、つまり、思考の世界と現象の世界は区別されるのである。
 
 このようにして、考えることのできる世界、「可想界」が想定される。古代ギリシアの哲学者プラトンは、これを「イデア界」と呼び、その世界の構造や現象世界との関係を描いてみせた。図面に描かれた現象としての正三角形は、厳密には正三角形ではない。しかし、われわれは完全な正三角形を思い描くことができる。それが思考の世界に存在する正三角形のイデアである。
 
 プラトンを受け継いだアリストテレスは、家屋を建設する大工の仕事に注目している。大工の前には木材があるだけである。しかし、大工はそれを加工して組み立て、家屋を建設する。最初、木材は家屋の形をしていなかった。その形はどこにあったのか。大工の頭の中にあったのである。家屋の形は「形相(イデア)」と呼ばれ、素材の木材は「質料」と呼ばれる。「形相」と「質料」。この区別は、古代ギリシア以降、現代に至るまで西洋哲学の基本概念である……。
 
 あはは。なんだか哲学の講義みたいになってしまいました。金属加工のヤスリ掛けは、哲学の基本概念につながっているわけです。というか、哲学の入口なんて、日常生活のどこにでもあるわけですよ。ヤスリ掛けはいろんな意味で奥が深いなあ。
 
 

 さてさて、各種床下補強材の取付。まずは取付位置のけがき。ワフには荷室と車掌室があるので、補強材の間隔は均等ではありません。ディバイダーが大活躍。全体はこんな感じ。けがきの線は分かりませんね。(^^;
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 床板の取付穴は、個々の補強材から写しあけるので、1つ1つを識別する必要があります。それぞれに、R1〜R7、L1〜L7などの刻印を打ちます。RとかLなんて、本物の蒸気機関車みたいですね。くふっ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 はて、補強材を取付位置に置いてみて当惑。せっかくけがいた取付の中心線が補強材を置くと見えなくなります。当然と言えば当然。一方の端に梁のチャンネルがあるので位置が確認できない。う〜む。結局、取付位置が見えるように、補強材の横端の位置を再度けがき直し。けがき線が3本に。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 はてはて、再び当惑。床板の取付穴を補強材から写しあけるためには、補強材を所定の位置に固定しておかなかればなりません。どうやって? 小型のCクランプ? 穴位置にドリルが立てられないでしょう。う〜む。こんなのアリかなあと思いつつ、バスコークで接着しちゃいました。エヘヘ。その接着力はC11組立の際に検証済み。瞬間接着剤は、瞬間に着くので位置決めの微調節ができません。それに、瞬間に着いたものは瞬間に取れる……。(笑)
 
 
 
 
 
 
 


 翌日まで待って、床板にドリル穴。バスコークによる不具合はありません。穴あけ後、補強材と床板の間にカッターナイフを入れると簡単に外れます。付着したバスコークは、青ニスといっしょに青ニス除去スプレーで洗浄。多少ブラシ掛けも必要。ほ〜ら、こんなにきれいに仕上がりました。チャンネル補強材の取付穴もこのときいっしょに。
 
 
 
 
 
 
 
 


 T字補強材の取付。左が車掌室側。右が荷室側。1つに4個のボルトとナット。片側7つですから、全部で、え〜と……。いっぱいあります。(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 最後はチャンネルの補強材。床板側の穴位置をどうやってチャンネルに写しましょうか。まず、チャンネルの横幅の中心線をけがいておきます。床板の取付穴からドリルの先端をちょっとだけのぞかせ、チャンネルを仮置き。ちょっとスライドさせるとドリルの先端がけがき針の代わりになります。両者がクロスした点が穴位置というわけです。
 
 
 
 
 
 
 
 


 チャンネル補強材の取付。取付ネジがスッと入るとニンマリ。それでも1、2箇所キツイところがありました。やむを得ずチャンネル側を0.3mm広げて対応。この補強材が入ると、軸箱守はしっかり固定されます。当初の心配は杞憂でした。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
取付終了! わあ〜い

 
 
うふふ!