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この窓の上に
最長の編成は20系ブルートレイン。機関車も入れると全長2mになる。干渉する書棚を除いた壁の全幅に棚板を取り付けるとL=2.6mくらい。これならブルートレインもOKだ。しかし、問題がある。棚材はホームセンターで探すにしても、そんな長いものをどうやってお店から自宅まで運ぶのか。かつてのランクルなら問題ないが、いまのミニカでは2mが限界。お店の貸出軽トラもあるが、ロープワークに自信がない。
問題はまだある。棚板はL金具で壁内の間柱に固定する。その金具を棚板に取り付ける溝切りはどうしようか。電動トリマーはない。ノミと金づちでうまくいくのか。さらに、仕上げの塗装は? 線路の塗装はかなりやったが、木工の経験はない。う〜ん。この初期段階で長期間行き詰まっていたのだ。打開の糸口は思わぬところから。
地元小学校の同窓会があった。還暦のときは参加しなかったが、今回の古希同窓会には参加した。そこで同席したM君は地元に製作所を構える建具職人さん。相談すると協力OKの返事。建具屋さんは木工加工の専門職。プロ用の専用機械も技術もある。棚板の溝切りなどわけはない。当然運搬用のワンボックスもある。「材料を探してみてよ」。ただし、塗装は専門外なので「自分でやれ」とのこと。よし、何とかなりそうだ!
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後日ホームセンターで見つけた棚材がこれ【上画像】。3000mm×120mm×25mmのヒノキ仕上げ材。モノはいい。この棚材を念頭に加工の概略図面【下画像】を作成して作業場を訪問。
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L金具も持参【下画像左】。「この金具をこの溝に取り付けて壁に固定したい」。多くを語らなくても話は通じる。溝切り用の機械も見せてもらった。「溝の先端にアールが残るのでノミで削り取る」のだそうだ。屋内には紙を貼る前の完成した障子がいくつもあった。念のためホームセンターで撮影した画像をラインで送った。「急がないのでいつでもいいよ」とお願いして帰宅。プロの工作機械を間近に見るとワクワクするなあ。
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L金具は片側を半分カット【上画像右】。分厚いので強度は十分だが、カットするのも大変。金切りノコですからね。「できた」の連絡があって加工済みの棚板が運ばれてきた。さすがに職人さんだけあって出来上がりは申し分ない。ホームセンターまで材料を買いに行った上に、加工して自宅まで運んでもらったわけだから、それなりに気持ちを示したい。「材料代でいい」と言われてもそれじゃ済まないよね。晩酌のビールを1ケースプレゼントしました。M君ありがとう!
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加工済みの棚板
溝幅、深さ、直角は、大型機械があるにせよ、素人のハンドメイドでできる仕上がりではない。本職にお願いしてよかった。
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金具がピッタリ収まった。ガイドを当てて位置決めして……
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ネジ止め。これを4箇所。
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棚板の準備ができたところで、壁面の取付位置を確認。横に長いのでとりわけ左右の水平が重要。まず中央を仮止めして……、んん? 石膏ボードの感触だけでその奥に間柱がない! そっ、そんなあ(涙)。コンコン叩いて何度も確認したのに……。ただし、音を聞いただけで実際にキリを立てたわけではなかった。棚板の溝切り位置は図面通り。図面が間違っていた。あとの3箇所を確認すると、右端の箇所にも間柱がないことが判明。カグッ。
右端の金具は諦め、残りの3箇所で支えることにした。間柱のなかった中央部分は若干ずらせば取付できることがわかった。要するに、もう1箇所溝切りを追加するわけだが、いまさら建具屋さんには頼めない。M君に相談したとき、「自分でやればいいのに。最近は木工加工が人気だよ」と言われたが、まさにその通りになった。1箇所くらいは自分でやりなさいということだ。
欠き取り箇所に線を引き、ノミと金づちで挑戦。ヒノキのいい香りがする。
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金具をネジ止めして………
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壁面に取り付けてみる。今度は大丈夫。水平を確認しながら左右2箇所を固定した。
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棚板の仮取付
棚板のW=120mmは、線路を2本敷設するためだった。単線ではさみしい。ただし、平面的な複線では奥の車両が見えない。段差を付けて上段と下段の複線にする。段差は何ミリが適当か。また、どんな角材が入手できるのか。検討の結果、45mm×45mmの角材に決定【下画像】。アールの面取りがしてあり、L=1820mmとL=910mmがある。これならミニカで持ち帰ることができる。
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問題はどうやって角材を下段の棚板に取り付けるか。脱着可能にしたいので接着剤やネジ止めは避けたい。ダボで取り付けるのはどうだろう。しかし、ダボ穴の位置決めが難しそうだ。いくら慎重に測って穴位置を決めても上下の穴がズレてしまうだろう。いい方法はないものか。金属加工ではネジ穴を写し開けする。そんな方法が木工にもあるはず……
ありました。ダボマーカー。だれでも困ったときにはジグを工夫するものだ。シンプルでしかも正確にダボ穴の位置を決めることができるすぐれもの。
まず下段の棚板にダボ穴を開ける。ポイントは垂直に開けること。タップガイドを流用した。クランプで固定。ドリルに白テープを巻き、貫通しないよう深さを加減する。
ダボ穴にダボマーカーをはめる。そうしておいて……
ガイドを使って正確に位置決めした角材を上から重ね、おりゃあ〜と押しつける。
角材の裏にダボマーカーの突起で穴位置が写る。【白丸部分】
ダボマーカーで付いた穴位置にドリルを立てる。タップガイドが役に立つ。
ダボは6.0mm丸棒から自作。
ダボを入れて上段の角材をはめ込めば……
ねらった位置に正確に角材を取り付けることができる。穴位置は少々ズレても大丈夫。その位置に写し取られるからだ。重要なのはむしろ角材の位置決め。
上段の角材は2本分割になったが、ダボマーカーを使えば……
接合箇所もピッタリ。ほお〜。
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上段加工完了
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ウフ!
続いて塗装。ヒノキ仕上げ材の塗装は躊躇したが、白木のままだと鉄道車両になじまない。和室の柱の色をイメージしてこのダークブラウンを選択。庭園鉄道の線路と違って室内なので水性塗料にした。ハケ塗り。
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何をするにも絶好の秋晴れの日。バイクのツーリングに出かけるか、棚板の塗装をするか、悩んだ末、塗装に決定。おお、水性塗料はマスクなしでこんなに楽なのか。しかも使用後のハケは水洗いできる。油性塗料は刺激が強かった。見上げる位置に取り付けるので、底面が最も目に付く。面積は狭いが側面もそうだ。反対側は塗装しなかった。快晴の日の塗装は楽しい。数日間屋内に放置して乾燥。
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道床の用意ができたので、次は線路の敷設。何本か未使用のフレキシブルレールが残っていた。線路の取り付けにはピンを使用。先端が鋭角になるようにカットした【下画像左】。
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枕木に等位間隔にピン穴を開ける【上画像右】。だいたい200mm間隔。ガイドを使ってレールの中心になるようにした。通電するつもりはないので、ジョイナーは使わない。レールを密着させて取り付けるだけ。
線路の敷設は上段から。接合箇所は線路の端を断面とツライチにする。角パイプをガイドにして線路の横位置を整え、ピンを打ち込む【白丸部分】。
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余った線路をカットして、半分出来上がり。
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もう1つの角材にも線路を敷設。
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上段の敷設完了。
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ちなみに上段の接合箇所はこんな感じ。ここで分割。ピンの頭は最後に水性塗料で塗装します。
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下段の線路は角材を外して敷設。上段と同様に角パイプで横位置を整える。
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さて、これで完成かと思われたが、若干気になることがあった。電気機関車やブルートレイン、82系などの明るい色合いの車両はそうでもないが、貨車はどうだろう。上段は背後の壁が白いのでまだいい【下画像左】。しかし、下段の貨車は背景のダークブラウンに紛れて見えにくくなってしまう。フラッシュ画像を明度補正してこんな感じ【下画像右】。どうしたものか。
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上段の側面全体に白い画用紙を貼りました。こうすると家畜車のスリットまでハッキリ分かります【下画像】。ほお〜。
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これで飾り棚の完成だ。手間と時間がかかったなあ。今後は毎日カーテンを開け閉めするたびにHO模型を目にすることができる。編成替えも楽しみだ。ウフフですね。
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蒸気機関車もクッキリ
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どおだあ〜!
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HOゲージの列車が復活!!
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