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まずは、状況の観察から。玄関前の敷石の端部が引込線の枕木とちょうど接するように本線道床の高さを決めた(→こちら)。そのため、端部に至るまで枕木の下に隙間ができる。しかも敷石の水勾配を斜めに横切るので、枕木ごとにその隙間の大きさが全部異なる【画像左】。枕木をちゃんと支持しないと、人が載ったときに線路に変な力がかって変形するだろう。仮設の木の平板をはめ込んで当面の対策【画像右】。
どうするかなあ。平板のままではいかにもお粗末。枕木の内側にアルミアングルをはめ込んで支持するか?1つずつ高さを計測して、それに合うようにアングルを削るのか?微調整が大変で、現実的ではない……。んん?微調整?高さの微調整と言えばネジ。これまでも橋梁をはじめ、高さの微調整にはネジを活用してきた。主桁の嵩上げで不要になったキャップスクリューが残っている【画像左】。こんな構造でどうだろう。早速試作(サビサビの線路はご容赦を)【画像右】。
NHKの日曜美術館。奇想の芸術家特集につげ義春が登場。登場する蒸気機関車が、縦置きシリンダーのシェイであるのも奇抜だが、「ねじ式」のタイトルにインスパイアーされた。そうだ、ネジでいこう!微調整には打って付け。施工の方法を脳内図面に描いてみる。なんとかなりそうだ。ウフフ。
ポイントの線路は大きいので、工作室に持ち込めない。やむなく屋外の縁台を臨時の作業台に。 |
ネジの取付穴を開ける。久々の青ニスにケガキ。ポンチの代わりに0.8mmドリル。当方はいつもこれでネジ穴の位置決めをする。ポンチを打つと大抵ずれる。 |
一気に大きい穴を開けると、これまた必ずずれる。2mm、3mm、4mmとセンターをにらんで微調整しつつ拡幅。ハンドドリルなので、穴の垂直が難しい。ピストル状の斜めの持ち手が災いして、当初は穴が斜めになった(涙)。でも、繰り返すうちに徐々に熟練。ドリルガイドがほしい。最終的に5mmの穴。 |
この穴をネジ穴にすることが、施工上一番工夫したところ。キャップスクリュー用のM6タップを立てる。そのための下穴5mm。角パイプを当ててタップの垂直に細心の注意を払う。タップガイドがほしい。ネジ穴の効用は以下で。 |
タップが済んだところで、キャップスクリューを入れてネジ穴の垂直具合を確認。まあ、いいかな。これで枕木の足が垂直になる。 |
さて、ポイント線路を裏返して、キャップスクリューを裏からネジ穴に入れる。間に挟んだナットは当面フリー。 |
ポイント線路を所定の場所に戻して高さを調整する。まず、敷石端部最寄りの枕木から。水準器を置いて線路面が水平になるようにキャップスクリューを回す。枕木がネジ穴なので、これで枕木の高さが調整できます。決まったら上からナットで固定。下のナットはまだそのまま。 |
さあ、ここからです。それぞれの枕木に通したキャップスクリューを回して頭を下げていき、敷石に当たったところが足の長さ。枕木によって長さが異なるが、いちいち計測しなくてもこれで決まります。なんてスマートなんでしょう!ウフフですね。(笑) |
足の長さが決まったところで、上からナットで固定。 |
縁台に移して裏返し、フリーだった下側のナットを締めて固定。部材の厚みが1.7mm程度なので、下側のナットで強度を確保したい。 |
最後にボルトをカットして突出長を揃えます。キャップスクリューは枕木のネジ穴と下のナットで固定されているので、上のナットを外しても大丈夫。ワッシャを2枚挟んでボルトをカット。 |
ワッシャを除いてナットを締めると、ワッシャ2枚分だけボルトの先が突出。揃うといい感じ! |
所定の位置に戻して「ねじ式」のポイント設置が完了。これで人が載っても大丈夫。えっ、枕木の下の隙間がそのままじゃないかって?確かに不自然ですね。でもご心配なく。秘策があります。いすれまた。お楽しみに! |
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