【新聞記事】
2004年(平成16年)1月16(金曜日)「毎日新聞」第22面 発行所:毎日新聞西部本部 copyright 毎日新聞社2004
■プジョーなどリコール プジョー・ジャポンなど自動車・二輪の輸入元やメーカー計4社から15日、国土交通省に計5件のリコール(回収・無償修理)の届け出があった。フランス・プジョーの乗用車「206」や「307」などの26車種計4万7386台(98年3月〜03年12月輸入)は方向指示器に問題があり、ハンドル操作時に指示器が作動するなどの恐れがある。「206」の11車種計1127台(01年11月〜02年12月輸入)はスタータモーターが破損する恐れがある。 日産ディーゼル工業のトラック「コンドル」1066台(99年8月〜03年11月製造)は排出ガス基準を満たさない可能性がある。いすゞ自動車のトラック「ギガ」1486台(03年4月〜12月製造)は後車軸の連結部の不具合が見つかった。米国ハーレーダビッドソンの二輪「ビューエル・ライトニングX1」など2車種計427台(98年8月〜99年8月輸入)はアクセルを戻してもエンジン回転が下がらなくなる恐れがある。 |
【プジョー・ジャポンからの手紙(1)】
2004年1月14日
お客様各位
プジョー・ジャポン株式会社
インフォメーションセンター 電話 0120-■■■-■■■ 謹啓 平素は、プジョー車をご愛用賜り厚く御礼申し上げます。 突然で恐縮ではございますが、標記に関しまして二つの重要なお知らせがございます。大変ご迷惑をお掛けする事となり申し訳ございませんが、何卒ご理解を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。 現在、弊社ではお客様にご愛用頂いておりますプジョー車に対するリコール(品質改善の為の無償修理作業)を明日1月15日付けで国土交通省へ届け出る準備をしております。この届け出が受理されました時点で、弊社よりお客様宛に詳しいリコールのお知らせをご郵送差し上げますので、あらかじめご承知おき頂きたくよろしくお願い申し上げます。 二点目と致しまして、お客様に長年ご愛顧を頂戴しておりましたブルーライオン下関(株式会社■■■)が閉店する事となり、今後のアフターサービスのご提供が出来ないこととなりました。リコールとディーラー店舗の閉店が重なり、多大なご迷惑をお掛けする事態となりました事を深くお詫び申し上げます。甚だ恐縮ではございますが、このような事態に鑑み、お客様のリコール作業を下記の弊社認定ディーラーでお受け頂きますよう謹んでお願い申し上げます。 本日は取り急ぎリコールとブルーライオン下関の閉店に関するご報告を申し上げましたが、今後のアフターサービスに関しましては改めましてご案内を差し上げる所存でおります。 お客様には大変ご迷惑をお掛けする事となり、誠に申し訳ございませんが何卒ご理解を賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。 謹白
リコールに関するお問合せは下記の弊社認定ディーラーまでお願い申し上げます。 ブルーライオン山口 〔■■■■(株)〕 山口市■■■■■■■ 電話 083-■■■-■■■ [地図(省略)] 以上
※段落、改行一部変更 |
要するに、これからリコールのお知らせが来る、そしてブルーライオンが閉店する(した?)、ということですね。さらに、後者に関しては、「今後のアフターサービスのご提供が出来ない」、リコール作業は記載の認定ディーラーで受ける、今後のアフターサービスについては「改めましてご案内を差し上げる」ということですね。
仕事柄、稚拙な文章に出くわすと添削したくなります。段落の冒頭を一字あける字下げが出来ていません。掲載の文面は読みやすいように修正してみました。インターネットのメールなどでは構わないにしても、この手のフォーマルな文書では必須でしょう。小論文の試験では減点です。また、認定ディーラーを記載している下記の「記」の文中にさらに「下記の」があって奇妙です。なくても意味は分かりますが、どうしも入れたいのなら、「以下の」かな。
文字による意思伝達は、文字によってしか伝わりません。言葉を粗末にしていると、気持ちもいい加減と思われますよ。なんか、学生の卒業論文指導みたい。(笑)
【プジョー・ジャポンからの手紙(2)】
2004年1月15日
お客様各位
PJ-2004/1/X3K プジョー・ジャポン株式会社
サービス・部品部 謹啓 皆様におかれましては いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は、プジョー車をご愛顧賜り厚く御礼申し上げます。 さて、このたびお客様にご愛用いただいておりますプジョー206のブレーキペダルにおいて、連結リンクとの固定ピンが不適切なものがあることが判明いたしました。これによりピンが抜け、場合によってはブレーキペダルによる制動操作が出来なくなる恐れがあります。ここに深くお詫びいたしますとともに、取り急ぎお知らせ申し上げます。 つきましてはご多忙の折、ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんが、お早めにお買い上げの販売店またはプジョー正規取扱店にて、ペダル固定ピンの交換作業をお受け下さいますよう、謹んでお願い申し上げます。この作業により、お客様に費用のご負担をお願いすることはございません。 交換作業そのものは1時間ほどで終了いたしますが、混雑する場合も御座いますので、販売店またはプジョー正規取扱店にご来店の際にはあらかじめご予約を頂戴致したく、お客様のご協力をお願い申し上げます。また、お車によりましては別途方向指示器操作スイッチの改善作業を同時に行う場合がございますのでご承知おきくださいますようお願い申し上げます。 今後もオートモビル・プジョー社共々、品質向上はもとより安全確保により一層努力する所存でおりますので、何卒ご理解賜り末永くご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。 謹白
ご質問、お問い合わせは;
Tel:0120-■■■-■■■(プジョーコール) までお願いいたします。 ※段落、改行一部変更 |
立て続けにプジョー・ジャポンからの郵便。前便で予告された「リコールのお知らせ」。あれれ、リコールの対象はブレーキペダルだったのですか。新聞報道では、方向指示器とスタータモーターでした。報道は省庁の発表を受けたもの。省庁の発表は必ずしも網羅的でないこともある、と伺ったことがある。(→こちら)
それはそれとして、リコール作業はいったいどこで受けるのでしょう。前便では、県内の認定ディーラーでしたが、この通知では「お買い上げの販売店またはプジョー正規取扱店」となっています。「正規取扱店」以外の「お買い上げの販売店」でもリコール作業が受けられるのですか。そうすると、閉店したブルーライオンもOKなのですね。前便には、「今後のアフターサービスのご提供が出来ない」と明記されていましたが……。
発送元の部署も違います。前者はインフォメーションセンター、後者はサービス・部品部。別々の部署がそれぞれに異なった内容の文書を顧客に送付している、という印象です。プジョー・ジャポンの内部で情報が一元化されていないのでしょうか。封筒のタックシールの印刷も違います。前便はドットプリンター、今回のはレーザー。前便には郵便番号がありません。宛名のデータベースも別なのでしょうか。
添削。やはり段落冒頭の字下げが出来ていません。それどころか、段落の設定そのものが不適切です。内容ごとに段落を設定しましょう。掲載の文面に例示してみました。それから、「いたします」「致します」、「ございます」「御座います」、「ください」「下さい」など、かな表記と漢字表記が混在しています。どちらかに統一しましょう。言葉に対する配慮が未熟です。前便とは別の方が作文されたのでしょうね。
この「リコールのお知らせ」は通常のルーチンワークによって、1月15日以前に準備されていたものなのでしょう。書面右肩の「PJ-2004/1/X3K」という記号のうち、「X3K」はタックシールにもあります。それに対して、「重要」の前便は、おそらく日付の1月14日直前に作成され、速達で発送されたのかもしれません。
この数ヶ月、ブルーライオンの閉店を知らせないまま済ませていたのに、リコールが発生して、やむなく閉店の通知をせざるを得なくなった、という印象です。ひょっとすると、閉店したブルーライオンに顧客がいたことをお忘れになっていたのかもしれません。あは。リコール発生以前に、閉店のお知らせがあると印象は随分変わったでしょうね。
ともあれ、「今後のアフターサービスに関しましては改めましてご案内を差し上げる所存でおります」と前便にあるので、しばらく様子をみましょう。
【「お詫びと破産手続のご案内」の文書】
債権者各位殿 平成16年1月13日
株式会社■■■・■■■ 上記代理人・弁護士■■■■ 電話 0832-■■-■■■■ ファクス 0832-■■-■■■■ 謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 1 さて、大変申し訳ないことでありますが、株式会社■■■(山口県下関市■■■■■■■)は、今般、手形の不渡事故を発生させ、支払停止状態となり、事実上の倒産に至りました。 債権者各位殿には、多大なるご迷惑をお掛けすることになりますが、何とぞご容赦下さるようにお願い申し上げます。 そこで、株式会社■■■は、今後、破産手続の申立を山口地方裁判所下関支部に致すことになりますので、ご連絡を差し上げる次第です。 2 また、会社の役員である■■■も会社の借入金債務などについて連帯保証をしております関係で支払不能の状態に至り、破産宣告の申立を致すことになりました。 3 よって、今後は、当職が上記債務者らの代理人となりますので、ご連絡なりご照会は債務者にではなく、代理人である私(弁護士・■■■■)にして頂くようお願い申し上げます。 敬具
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購入時のことが思い出される。納車時に現金で支払いたいというこちらの意向とは裏腹に、契約時に半ば強引に信販契約をさせられた。資金繰りに困っていて、信販会社からの現金のために利用されたのではないか、という疑念を払拭できなかった。
「しっかりやっていらっしゃいます」という信販会社の発言を信用したのは、私が愚かだったが、「本当に大丈夫なの」と敢えて問い合わせをしたプジョー・ジャポンも「地域担当から何も聞いていません」との回答。地元の業界関係者には口を閉ざす人が多かったにもかかわらず、プジョー・ジャポンの評価を信頼した。問い合わせを受けた同僚にも、プジョー車の購入を薦めた。
でも、プジョー・ジャポンの評価は当てにならないということでした。金融業界などが個人情報を調査しているのと同じように、消費者側も、他人をあてにせず、自分自身で企業の経営状況を緻密に調べ上げないといけないわけですね。とくにプジョーとのお付き合いでは、今後この点を忘れないようにしましょう。
【プジョー・ジャポンの対応】
リコールとブルーライオン閉店のお知らせから1ヶ月近くが経過。「改めましてご案内を差し上げる」とのことだったが、その後何の音沙汰もない。どうしたのかなあ。今後のこともあるし、念のため、プジョー・ジャポンに問い合わせをしてみた。
いきなり恵比寿の本社もないか。まずはインフォメーションセンターのフリーダイヤル。久しぶりだ。「改めてお知らせをいただけるものと理解していましたが、もう1ヶ月近くになります。どうなっているのでしょう」「こちらからのお知らせはもうありません。ブルーライオン山口から連絡が届いていないのですか」「1月14日付けのお知らせには「改めましてご案内を差し上げる」とありますよ。発信元はインフォメーションセンターです。インフォメーションセンターが改めてご案内するということではないのですか」「少々お待ちください……」。
受け答えは丁寧で好印象だが、やはり以前と同様に要領を得ない。しばらく待たされた後、「明日改めてご回答いたします」。マニュアル通りの対応だけで、ちょっと突っ込むともうお手上げ。別に意地悪をしているわけじゃないんだけどなあ。これじゃインフォメーションセンターの名に値しないよね。仕方ありません。明日の連絡を待ちましょう。
翌日、約束通り、プジョー・ジャポンから電話。あれ、この声には聞き覚えがある。そうそう、購入時のトラブルの際にお世話になったT氏だ。物腰の柔らかい落ち着いたトーンはそのまま。こちらのことも覚えていらっしゃる様子。「急な倒産だったので、対応が遅れています。今後のことについては、ブルーライオン山口に確認した上で、明日ご報告いたします」。で、さらにもう1日待つことに。
翌日、再度T氏から電話。要するに、こんなこと。ブルーライオン山口は、山口トヨペットの出資した子会社。山口トヨペットの販売店網のうち、下関市内の1店舗にブルーライオンの「サテライト」を設ける。ここには、プジョーのトレーニングを受けたメカニックが常駐する。しかし、建物等の着工はまだこれからで、完成までに数ヶ月かかる。それまでのメンテナンスは山口もしくは小倉、ということにならざるを得ない。ふむふむ、なるほど。
それからもう1つ。迅速なお知らせができない大きな理由は、顧客情報の取り扱いの問題。閉店したブルーライオン下関の顧客情報を、そのまま直ちにブルーライオン山口に引き継ぐことはできない。ご本人の了承を得た上でないとプライバシーの侵害になる。まず、この了承を得る手続きを先行させる必要がある。しかも、プジョー・ジャポンが情報のすべてを把握しているとも限らないので、困惑している。なるほど、顧客情報の取り扱いですかあ。これは厄介だ。
サービス工場の件は、おそらくただの時間の問題でしょう。しかし、後者の件は、重要で深刻です。下手をすると社会的信用をすべて失いかねません。窮地。プジョー・ジャポンがこれをどう乗り越えるか。まさに真価が問われていると言えます。よもやいい加減なことはなさらないものと信じます。ガンバレ、プジョー・ジャポン!! (いつから私がプジョー・ジャポンを応援するようになったかって? そりゃ、最初からですよ。でなけりゃ、こんな手のかかるホームページを続けているわけがないでしょ。(笑))
【プジョー・ジャポンからの手紙(3)】
お客様各位 謹啓
謹白
プジョー・ジャポン株式会社
※段落、改行一部変更フリーダイヤル 0120-■■■-■■■ 平成16年3月 |
やっと来たか、待ちかねたぞ。それっきりにされてしまうのかという一抹の不安も、正直なところなかったわけではない。インフォメーションセンターからは「もう連絡はない」とあしらわれたものの、本社のT氏の説明になるほどと思うところもあった。突然の倒産でバタバタしているということなのでしょう。上掲文書のほかに、同封物が3点。(1)アジュールオートモビル株式会社の概要、(2)情報提供への同意を確認する返信用フォーム、(3)返信用封筒。
(1)今後のサービスをどんなところが引き継ぐのか。この点はユーザーの最大の関心事。再び同じ思いをさせられるくらいなら、金輪際プジョージャポンとは縁を切る、という選択肢もあり得るでしょう。プジョージャポンにしても、ここで信頼を回復できないようでは企業イメージの失墜。ブルーライオン山口の会社概要のうち、「山口トヨペット100%出資会社」の文言がポイント。トヨタ・ブランドもさることながら、山口トヨペットは県下小売業界のナンバーツーらしいです。ちなみに、ナンバーワンはユニクロとか。
(2)ブルーライオン山口への情報提供を希望するか、しないか、を回答する返信用フォーム。「□希望する」「□希望しない」にチェックを入れる。もちろん「希望する」。提供される登録情報は、名前、住所、電話番号、車台番号。当方の場合、電話番号の欄が空白になっていたので記入。希望の旨の返信がない場合、「ブルーライオン山口への情報提供は行いません」と明記されているが、その情報は「弊社にて保管」されるとのこと。賢い消費者としては、どんな企業の個人情報も流出する可能性がある、と見ておいた方がいいかもしれません。
(3)返信用封筒にはちゃんと80円切手が貼ってあり、もちろん宛先も記載済み。できるだけ多くの人に返信してもらいたいという切実な思いが滲み出て、好印象。宛先の「宛」を「御中」に書き直して投函。A4の返信用フォームを入れるには、返信用封筒のサイズが小さかったですね。
さて、上掲文書の内容。「弊社との契約条項不履行を理由として平成16年1月をもって業務契約を解消致しました」。倒産したので関係なくなった、ということですが、ユーザーとしては、むしろ、これに先立ってブルーライオンの看板を降ろすに至った経緯の方を知りたいものです。当地のブルーライオン以外にも、ブルーライオンネットワークから消えたお店がありますよね。淘汰ですか。そうだとすると、今回の倒産もシナリオ通りということでしょうか。トヨタ系列のブルーライオンと競合させてジリ貧に追い込む……。
「本件に関しましては突然の事であり……」。予想もしなかったという意味ではなく、シナリオの進度が速かったという意味でしょう。「今後の方針策定などに手間取り……」。ブルーライオン山口に一本化することは、おそらく既定の方針だったはずです。「など」の中に含まれる具体的対応が実際の進度に追いつけなかった、それで手間取っているように見える、ということですよね。銀行取引が停止され事業が継続できなくなるのは、自由主義経済の市場社会ではありふれた1コマです。
例によって作文指導。(笑) 1月14日付文書によく似た文章です。「鑑み」が以前もありましたが、普通の人は使いませんよね。こういうのがお好きな方のようです。段落冒頭の字下げはちゃんとできています。でも、「御」「ご」、「事」「こと」、「頂ける」「いただける」のように、まだ漢字表記と仮名表記が混在しています。それから、なんでも「お」や「ご」を付ければ丁寧になるわけではありません。敬意が向かう相手にかかわることに付けるわけで、自分に付けたらマズイでしょう。「ご対応」は奇妙です。一般には、曖昧な慣用もありますが……。
あと2つの文書はいけません。段落冒頭の字下げがまるでできていません。返信用フォームの説明文、「車台番号とは、車検証に記載のVF3で始まる17桁の英数字になります」。はあ〜、呆れてしまいます。「……になります」は、無責任な若者アルバイトの会話表現だけと思っていました。「17桁の英数字です」と断言する自信も責任感もないのですね。ん?上掲文書の発信元はプジョージャポン株式会社、よく見ると、この2つの文書の発信元はインフォメーションセンター。マジでアルバイトだったりして……。(^^;
個人情報の取り扱いも含めて、今回の対応によってプジョージャポンの真価が問われたわけですが、私に関する限り、まあ合格点ですね。ご安心下さい。情報提供を希望しなかった方、今回の一件でプジョーを見限った方などには、また違った評価があるかもしれません。私としては、一刻も早く最寄りのサービスサテライトが完成するのを望むばかりです。あ、それにしても、インフォメーションセンターはいまひとつですねえ。なんとかしましょう。