岡山県鉄道遺産訪問記

 
2012/11/24-11/25
 
 

1.井笠鉄道株式会社 鉄道記念館

 
 井笠鉄道の鉄道はすでにはるか昔に廃止になり、バス路線だけが存続していました。そのバス路線が経営難になり、会社そのものがなくなるというニュースを聞いてビックリ。関連施設の先行きも不透明。そんな事情もあって井笠鉄道の鉄道記念館を訪問しました。
 
 こじんまりとしたスペースには、駅舎とならんで、機関車、客車、有蓋貨車のほか、腕木信号機なども保存されています。入館無料。駅舎の内部は鉄道関連の展示室。改札口などはありません。事務所内では井笠鉄道のOBかと思われる方々が談笑されています。見所というか、関心の向くところはもちろん蒸気機関車。ライブスチーム界ではとりわけ有名なコッペルです。保存状態はよさそうです。
 
 塗装が真新しいダブルルーフの客車と有蓋貨車にも興味津々。客車内は立ち入りOK。机が置かれていて集会所のような感じ。しかし、眼差しはついついボギー台車に向いてしまいます。客車も貨車も同じようにコイルバネが2本。よく観察すると、客車の台車は2本が直列になる構造、これに対して貨車のそれは並列。乗り心地優先か、荷重優先かの違いですね。なるほど。
 
 会社の精算手続きにともなってこの記念館も処分されるのでしょうか。もちろん存続してほしいですよね。訪問者ノートに住所と氏名を記帳して帰りました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2.津山市立南小学校 C1180

 
 津山駅に向かう途中、学校の校庭の隅に静態保存のC11を発見。屋根付きで保存状態は良さそう。サイド水タンクの下端が運転室の下端と一直線になっているのが初期型の特徴。80号機です。当方のライブスチームのC11はサイド水タンクが増量され、その下端が運転室よりも下がっているタイプ。戦後型の328号機。静態保存機の復活が実現している昨今、このC11の復活はあるのでしょうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

3.旧津山機関区 扇型機関庫

 
 扇型機関庫といえば梅小路機関庫が有名です。実は津山にも扇型機関庫が残っているのですね。17線あり、梅小路に次いで2番目の大きさらしいです。へえ〜。真冬を除き、土日を中心に一般公開されています。事前予約が必要という情報にもかかわらず、閑散期のせいか、当日直接でもOKでした。無料ですが、カンパ箱に100円。津山駅構内ですから、隣りでは現役の気動車たちがアイドリングしながら出番待ち。エンジン音に活気を感じます。
 
 JR西日本だけあって、定時まで立入はダメ。注意事項の説明を聞き、まず、参加者全員でターンテーブルの運転を見学。ほお〜っ、現役なんですね。しかも「近代化産業遺産」。その後は自由行動。ヘルメット着用で案内係の解説付きかと思いきや、さにあらず。お帰りもご自由にとのこと。建物自体はかなり傷んでいて時代を感じます。建物内への立ち入りもできません。
 
 非電化の土地柄か、機関庫の中は気動車が中心。お子様たちの順番を待って「やくも」のお立ち台で記念写真。ディーゼル機関車もあります。除雪仕様のDD15。そしてとりわけ目を引くのがDE50の1号機。あれ、こんな機関車あったかな。どうやら試作機らしいです。でかいなあ。大型強力ディーゼル機関車の開発を意図したものの量産されず1両のみ。一番端の小型入換機も気になります。
 
 機関庫のほかにも、鉄道関連の物品を収集した展示棟なども併設されています。現物を使った閉塞システムの実演は初体験。タブレットの丸や三角の穴の意味がよく分かりました。なるほどね。Nゲージのジオラマもすぐれもの。走行電源とは独立に車輌のライトが点灯。さらに、機関庫から出てターンテーブルで旋回するところもプログラム制御なのだそうです。お子様たちといっしょに、「おおっ!」。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4.片上鉄道保存会

 
 片上鉄道保存会は、これまで一度訪問したいと強く望んでいたところでした。当方のライブスチームは1/12ですが、なにしろこちらは1/1ですからね。1/1スケールは鉄道模型としては夢のまた夢。保存会の方から「片上鉄道でもC11が活躍していました」というメールをいただいたこともあります。残念ながら運転会の日ではありませんでしたが、車輌の塗装準備やレールの交換作業などをされている方もいらっしゃいました。
 
 実際に動く気動車もさることながら、気になるのはやはり貨車。トラやワフが保存されています。消耗品の感のある貨車の実物が保存されているのはとても貴重。走り装置の構造が異なる貨車が並んでいるのは意図的なのでしょうか。二段リンクの構造を詳しく知りたくて、九州鉄道記念館のセラを見に行きましたが、二段リンクでなくてガッカリしたことがあります。ここだとそれがよく分かります。すばらしい!
 
 鉱山資料館には入館せずじまい。また改めて運転会の日に訪問しましょう。