大人の遊び運転会(後編)

2025/03/28
 


本線進行


前方よし!

 今回の運転会で実証されたことが1つある。玄関前の橋梁は0.1トンの荷重に耐えられる!! おかげさまで荷重の最大値を更新。限界を見極めようとは思わないが、これなら誰が乗っても大丈夫だ。

 さて、運転を楽しんだ後の片付け。運転前に水と油と石炭の準備をしたように、片付けも水と油と石炭。まず火室下の灰箱にたまった灰を排出【画像下左】。これは火格子から落ちた小さな灰で、火室にはまだ石炭の燃えガラが残っている。

   

 水タンクの排水。後水タンクの排水栓を外す【画像上右】。これで左右の側タンクの水も排水できる。排水は、片付けの最初に橋梁部分でやっておく。後回しにすると線路と道床が水浸しになってしまう。ハンドポンプを動かして配管内の水も抜く。


 ボイラーの排水。六角ボルトのボイラー排水弁を開ける【画像上】。少し蒸気圧が残っているときに開けた方がゴミや湯アカもとれやすく、ボイラーの内部掃除になるらしい。熱湯が出るので要注意。水タンクとボイラー以外の水抜きは、機関車を作業台に載せてから。

 ケージに入れた機関車を支持台に載せる。前後を片側ずつ順番に持ち上げる。機関車は重いが、重量が半分になるのでまだなんとかなります。→こちらを参照
 
 台車をケージの下に入れる。
 
 ジャッキアップしてを持ち上げる。足踏みレバーは土禁
 
 ケージを脚立に載せる。
 
 作業用のレールを設置して、ケージから機関車を引き出す。これで片付けの準備ができた。

 各装置の水抜きはエア駆動で行う。エアテスト用のジョイントパイプをボイラー排水弁に取り付けます【画像下左】。ここからコンプレッサーの圧縮空気をボイラーに入れるわけです。3つの動輪はベアリング上に載っているので、エア駆動してもその場で回転するだけ【画像下右】。機関車は動きません。→こちらを参照

  

 エア駆動で動輪を回すことによって、シリンダー内の水や、軸動ポンプの配管内の水を抜きます。そのほか、安全弁汽笛発電機ドンキーポンプなどもエア駆動で水抜きします。一通りの水抜きが終わったら、エアテスト用のジョイントパイプを、元通りボイラー排水管に付け替えます。

 水の次は油。ドンキーポンプの注油器のスチームオイルを抜きますが、これが厄介。下端の栓を開けても出てくるのは水だけ。オイルは内部でスチームと混ざって乳化状態。エアで吹き飛ばすとそこら中に飛び取って、いつも大変【画像下】。他方、油ポンプのスチームオイルは、次回のために注ぎ足し。しばらく放っておくと目減りするので、自然にシリンダーに流れ落ちている模様。それでいいかなと。


ドンキーポンプ給油器

 作業レールに載せたときは、平素は目にできないところをメンテナンスできる絶好のチャンス。軸動ポンプに注油。新品だった頃はこんな感じ【画像下】。いまは薄汚れてしまっているので、貴重な画像だ。そのほか動輪の軸箱など、台枠の内側にも注油。本物の整備場もレールの下から点検できるようになっていますよね。



 最後に石炭関係の片付け。火室煙室煙管。準備が大変だった火室の片付けはもっと大変。残った石炭ガラが挟まって火格子が取り出しにくいことがよくある。灰箱の下から突っついてて石炭ガラを取り出すことも。火室内はエアを吹き付けて掃除。煙突内側の灰を拭き取り、煙室にはエアを吹き付ける。

 一番厄介なのは煙管の掃除。石炭を燃焼させると煙管にタール分が付着する。これを除去しないと煙管が細くなって次第に通風が悪くなり、石炭が燃えにくくなってしまうのだ。運転会のお昼休みに煙管掃除をしているベテランの先輩がおられた。煙管の通風性は、蒸気機関車にとって命の綱なのだ。

 当庭園鉄道のC11機関車には、大煙管が3本、小煙管が12本ある。これらの煙管に煙室側からブラシを通して掃除するわけだが、厄介なのは、この大煙管には、蒸気を再加熱して過熱蒸気にする過熱管が入っている。その配管が邪魔をして煙管の位置が分かりにくい。マグライトで照らしながら四苦八苦。最後はエアで吹き飛ばす。

 水と油と石炭の片付けが済んだらケージに戻していつもの定置場へ。次回の運転会を待ちます。以上、運転前後の手順の前編後編でした。


火室掃除

出典:小川精機「組立説明書」


ブラシで煙管掃除


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定置場