〔側枠の加工〕
 
小川精機 AT-67の側枠
 
 
 小川精機製の台車の組立はすでに経験済み。しかし、C11の試運転直前だったので、じっくり観察する余裕がありませんでした。側枠に文字がありますが、気にも止めぬまま。今回はじっくり観察。「O.S. BETTENDORF AT-67」の浮き彫り文字。中央のドイツ語風の文字が気になります。調べてみました。
 
 
 
 
 ベッテンドルフ(Bettendorf)は貨車用台車の名称。貨車用台車は、歴史的にはボルト組立の菱枠台車から始まるようですが、ボルトの緩みのメンテナンスに手間がかかったことから、1910年代に側枠を一体鋳造した台車が開発されました。軸箱まで一体化したのがベッテンドルフ台車。ベッテンドルフは開発した製造会社の名前。組立にするから面倒なことになるわけで、最初から一体ものにすればいいというアイデアです。なるほど。
 
 ベッテンドルフ台車は、左右の側枠とそれを連結する枕梁の3つで構成されたスリーピース台車。シンプルがベストというわけです。ベッテンドルフ社は特許を取得していましたが、独占せずに公開したので、急速に普及しました。日本でこれが採用されたのがTR41。そういえばHOゲージのホキの台車はTR41でした。小川精機の台車はTR41によく似ているなあと思いましたが、実は同じものだったわけです。(笑)
 
 TR41は当初板バネで、TR41A、TR41B、TR41Cと改良され、その後コイルバネに変更されてTR41Dになりました。HOゲージのホキの台車にはこの板バネ仕様のTR41Cとコイルバネ仕様のTR41Dが付属していたのです。なるほどね、少しは事情が分かってきました。さらにこのTR41を平軸受からコロ軸受に改良したのが、板バネのTR209、コイルバネのTR214などです。(以上の内容は、次のウェブページを参照しました。http://www16.plala.or.jp/goerlitz/truck_jnr_FC.htm)
 
 
 
 
 というわけで、小川精機のAT-67を流用してコイルバネのTR41Dを再現することにします。プレート車輪とコイルバネ、この点は既製品を利用するので選択の余地はありませんからね。目に付くのはやはり軸箱蓋。蝶番が気になります。割ピンもちょっとねえ。これらを取り除いてしまいましょう。
 
 

 作業に取りかかる前に一工夫。軸受には精密なローラーベアリングがはめ込まれています。ヤスリ屑が入り込むと面倒です。念のために養生。ティッシュを丸めて押し込みました。裏側にはマスキングテープ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 前回作成した軸箱蓋を軸箱に仮置きすると、蝶番部分が干渉してこんな感じに隙間ができます。まず、ここから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 ヤスリがけして軸箱のツラを延長。これで蓋が密着。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 さらに蝶番部分を切削。しかし、これが意外に面倒。側枠に出っ張りがあるので、ヤスリのストロークが確保できません。10mmもない場所をチマチマ根気よく。全部で8箇所。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 蝶番部分を削り取った軸箱。当初この上辺のくぼみをどうしたものかと悩みましたが、床下でもあり、そんなに目立たないはずなので、そのまま妥協。軸箱蓋がちゃんと見えればヨシとしましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 鋳造時のバリが多少残っているところもあります。側枠の周りをヤスリがけしてペーパー仕上げ。合わせて浮き彫り文字も削り取りました。スッキリしましたが、小川精機さん、ゴメンナサイ。m(_ _)m
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 軸箱蓋をバスコークで接着。バスコークがはみ出さないように細心の注意を。表面に付着すると塗装がうまくいかなくなります。ワフの塗装で苦労しました。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
TR41Dの側枠(のつもり)