〔プレート車輪の塗装〕
 
 熱にさらされるライブスチームの機関車には耐熱塗料が必須です。エナメル塗料などに比べると塗装面も強固というイメージ。苛酷な状況下に置かれる車輪ですから、ホキの車輪にもこの耐熱塗料がいいかもしれません。先達の実践例を参考にして、新たな塗装の技術に挑戦です。塗料はソフト99の耐熱ペイント黒。車やオートバイのマフラーやエンジン回り、ストーブなどの塗装が想定されています。残念ながら、ライブスチームのことは念頭にないようです。(笑) 説明文によれば、スプレーして乾燥させた後、150度1時間加熱して硬化させる、とあります。温度管理がポイントですね。
 
 
    
 
 
 専用の道具を購入あるいは自作するのではなくて、できるだけ簡単に入手できる既製品を流用しよう、というのがこのホキ製作の基本方針。温度調整のできる調理用のオーブンが我が家にもあります。「工作に使っちゃだめよね」。ダメもとで奥さまにお願いしてみましたが、当然ダメ。放射熱タイプの電気ストーブもあります。ちょっとテストしたところ、外気の影響を受けるので温度の維持が難しそう。
 
 オーブントースターはどうでしょう。かつて我が家で活躍した年代ものを実家の倉庫から調達。今西金属工業株式会社製のIT200。620W。見方によっては、上下に熱源のある電気炉です。(笑) 上下両面の同時焼付ができます。大きなパーツは無理ですが、小物の焼付には利用できそうです。しかし、15分タイマーがあるだけで温度調整の機能はありません。どうしましょう。
 
 そもそもオーブントースターの内部はどれくらいの温度になるのでしょうか。お餅が焦げたり、グラタンがグツグツしたりするわけですから高温であることは分かります。でも、計測したことはありません。いずれにせよ温度計が必要です。それも150度以上に対応したもの。寒暖計は50度。燻製で使う温度計は100度。さらに高温を計れる温度計は……。お金を出せばありそうですが、残念ながらそのお金がありません。(^^;
 
 
    
 
 
 調理に高温はつきもの。オーブン料理以外に高温を使う料理は……。てんぷら! 美味しいてんぷらを揚げるコツは油の温度管理とか。そういえば温度計の付いた箸を見たことがあります。探したところ見つかりました。一方の箸の上端に回転式の温度計がついています。先端を油に入れると温度が分かる仕組み。目盛りの頂点位置が150度で最高200度まで。精度はなさそうですが、だいたいのことは分かります。これだ。
 
 しかし、どうやってトースター内部の温度を計測しましょうか。前面ドアは開けたくないですよね。ためらわず側面にドリルで6.0mm穴。もちろん内部の構造を確認した上でのこと。感電なんてシャレになりません。内部の網棚の位置に先端の温度感知部が届くように。入れすぎると伝道熱で持ち手が溶けるかもしれません。説明書には「油に入れたままにするな」とありました。
 
 試しに電源を入れて内部の温度を計測したところ、どんどん上昇して200度を振り切りそうになります。へえ〜、そんなに高温になるのかあ。ということは、電源のON-OFFで温度管理をする必要がありますね。タイマーが電源スイッチですが、ここをON-OFFするのは面倒。スイッチ付のコンセントを使いましょう。このフットスイッチは重宝します。日頃の工作にも活用。
 
 アルミフラットバーを使って焼付試作品を作ってみました。耐熱ペイントを3回重ね塗り。乾燥したところを見計らって、事前に予熱したトースターの中へ。タイマーを15分いっぱいに回して焼付開始。150度以上になると電源OFF。150度以下になると電源ON。これの繰り返し。さながら人間サーモスタット。(笑) 15分経過するとチーン。もちろんタイマーはそのまま時計代わり。これを4回繰り返すわけです。
 
 
    
 
 
 もうもうと煙が出たというウェブ報告も目にしましたが、そんなことはありません。1時間後、常温になるまで待って取り出すと、きめの細かい上質な仕上がり。ほお〜、スプレーとは違うなあ。熱源からの距離によるムラもありません。表も裏も同じ仕上がり。溶剤の臭いもありません。手間はかかりますが、すばらしい出来上がり。残念ながら、ウェブページではこの質感は伝わりませんね。
 
 
 
 
 さて、いよいよ本番のプレート車輪の塗装……。という段になってちょっと思案。確かに焼付塗装は美しく塗装面も丈夫。しかし、側枠などの艶消しとコントラストを出そうという点ではミスマッチかな。微妙に光沢感が違いますが、焼付塗装の仕上がりはやはり艶消しです。ほとんどコントラストは出ないでしょう。焼付試作の段階でそう判断しました。で、急遽方針転換。プレート車輪もスプレー塗装。でも、今回準備した道具やノウハウはムダにはなりません。今度きっと役に立ちます。
 
 

 スプレー塗料は、塗装面の強度を考えてラッカーを選択。側枠などの艶消しとコントラストを出すために艶ありの黒。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 プレート車輪にマスキング。マスキングテープでリムの境界をきっちり出すのは至難のワザ。塗装段階では適当にしておいて乾燥後にキッチリ磨き出しすることに。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 まず下地のプラサフから。ケーキをデコレーションする回転台に平板を乗せてクルクル回転。比較的均等にスプレーすることができます。乾燥したら裏側にも。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 プラサフ塗装から数日後、仕上げの黒スプレー。休日と晴天が重ならないと塗装作業ができません。なかなか思うようになりませんが、ここはじっくり腰を据えて。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 表側のリム面はあとで磨き出しするので、跡が付いても気にしません。割箸をかませて表を下にして乾燥。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 塗装開始から1週間後、リムの磨き出し。ここで、ボール盤を使った荒業に挑戦。チャックに車軸を装着し、車輪を仮止め。回転させてリムの塗装をカッターナイフで削り取ろうという趣向です。最初は要領が分からず四苦八苦しましたが、慣れると面白いようにきれいになります。境界部分もバッチリ。(^o^)v
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 ほらね、こんな具合です。旋盤があるとこの手の作業は朝飯前なのでしょうね。ウグッ、我慢、我慢。裏側もフランジ部分を削り取りました。最後に、表側にクリアを吹いてプレート車輪の塗装完了。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 すでに塗装済みの車軸と組立。プレート部分の艶あり黒は、明らかに艶消しとコントラスト。うふふ……。うん? 未塗装の車軸が気になるなあ。ここにも塗装をしましょう。車輪の穴が車軸とピッタリなので、組立前には塗装ができませんでした。しかし、これが意外に厄介。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 数日悩んだ末、車軸を立てて保持する方法を採用。プレート面以外のマスキングをどうするかな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 ダンボール箱で全体を被ってしまいましょう。丸穴部分から内部にスプレーが流入しないようにするのがポイント。ここは車軸の中央部分と同じ艶消し黒。塗装面はちょっとだけなので、スプレーはすぐ済みます。しかし、方法を考える時間ははるかに長い! まあ、考えるのが楽しいわけです。(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 マスキングを外すとこんな具合。車軸の先端は軸受に入って隠れるので、これでいっそうリムとプレート部分が引き立ちます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 天候の影響もあり、プレート車輪の塗装に20日近くもかかってしまいました。やっと出来たあ〜。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

=おまけ=
 
 下関市内の古鉄屋さんでこんなものを見つけました。鉄道車両のプレート車輪です。ディスクブレーキや歯車、板バネなども見えます。近所のJR幡生工場で解体された車両のものかもしれません。なんだか哀れですね。