やまめやまめ(2)サーモンサーモン(2)牛タンベーコン BACK




 しばらく燻製を作ってないなあ。寒いので外出は億劫だけど、ここはえいやーとやまめの養魚場へ行くことにした。出掛ける前に電話をすると「やまめはいない。にじますだけ」と思いも寄らない返事。あれれ、去年の冬はそんなことなかったのに。にじますでもいいか。とりあえず家を出た。

 定年退職後に戻った実家から養魚場はそう遠くない。同じ地区。退職前に住んでいたところではちょっと遠かったので、これは好都合。養魚場が近いということは、要するに、実家の場所がやまめの生息する自然環境に近いということ。まあ、山の中ということです。(笑)

 すでに何度かお伺いしているので、顔を覚えていただいている。やまめの話を聞いたところ、事態は極めて深刻。去年の夏は記録的な暑さだった。気温が高く、水温も上がって稚魚が育たなかったとのこと。やまめはとても繊細で、環境の影響を受けやすいのだそうだ。ええっ!温暖化の問題はこんなところにも影響しているのか。

 にじますは強くて丈夫らしい。生け簀にたくさん泳いでいる。隣はやまめの生け簀。まったくいないわけではないが、わずかだけ。しかも、いつも見ているのよりもかなり大きい。どうやら1年前のものらしい。繁殖用に残してあるとのこと。「大きくてもいいですか。スモーカーに入りますか」。おや、思わぬ展開。

 スモーカーは問題ないので、やまめを分けてもらうことにした。ただし、まだ繁殖の可能性を残したいとのことで、卵のいないメス。性別の見分け方を尋ねたが、企業秘密的な感じで教えてもらえなかった。年を越すとこんなに大きくなるんだ。味や脂の具合はどうなんだろう。「次回からはにじますですね」とお話しして帰宅。あとで調べたところ、オス・メスの判別は、繁殖期以外はかなり難しく、奥深い感じ。

   

 左が燻煙前、右が燻煙後。下の方に黄色いものが見えますね。たくあんです。いわゆる「いぶりがっこ」。スモークの際には、必ずチーズとたくあんもいっしょに。どちらも絶品に仕上がります。今回の最も大きかったのはこちら↓。およそ28cm。スケールは150mm。


 心配していた味はどうでしょう。さすがに皮は固く、身を取り出す力仕事に一苦労。しかし、味はいつもと変わらない。奥さまも「いいんじゃないの」とご満悦の様子。よかった!!これまで長年「結婚してよかったことは燻製だけね」と言われています。(笑)

 養魚場のオーナーさんは、すでにやまめを諦めている様子だった。にじますに軸足を移すのでしょう。観賞用のメダカも始めたとか。比較的市街地に近くて料亭などへ卸すには好都合だったが、その分気温も高くなりやすい。やまめの生息域の南限だったということかな。今後やまめを入手するには、もっと県北に行かないといけない。今回が最後のやまめの燻製かも……(2024/03/05)



1994/01/05 かつての養魚場